須田春海採録2 市民自治体 | |
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著 須田春海(市民運動全国センター代表世話人) |
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『政策提案型市民運動のすすめ』等、主要な論考を収録
21世紀の初頭、自治体は構造的危機にある、といわれる。しかし、財政危機や市町村合併は、自治体を市民機構化するチャンスでもある。財政的自立なくして自己統治能力は生まれまい。財政は市民参加の再建政策が基調となろう。また、市町村合併の論議は、クニ型の自治体を市民制御可能な組識に改変する絶好の機会を提供する。自治体を設立する貴重な体験の場ともなるからだ。明治・昭和の大合併との最大の違いは、平成の合併・独立にはクニの都合だけではなく、市民が関わるということだ。事業のありかたも、自治体は市民との直接的接点を持つだけに、いち早く協治スタイルを取り入れ、ガバナンスがはやり言葉になり、パートナーシップの試行がはじまった。自治体はお金、組織、事業のありかた、この3点で、大いなる未来の可能性を示す。しかし不安がある。…参加は「寛容と忍耐」を要する「協議型」の王道を回避し、権力と「一体化」する脇道に入りつつある。市民は権力との一体化幻想にのめりこむ。その過程で、自治体の数を1000にするとか300だとかいう発言が「協議」不在のまま進む。自治体の基盤は市町村だ。その市町村が挑戦力を失っているようにみえる。これが不安の要因だ。自治体のない社会は自由のない社会と同義語である。…日本では、自分個人が責任を負うより「国民みなが安心して暮らせるよう国はもっと責任を持つべきだ」と判断する市民がなお71%にのぼる現実を直視したい。クニ依存文化の底固さを改革するには、それこそ深淵からの覚悟が、当分は、必要とされよう。
(本巻収録「市民活動と市民参加」より)
目次
第1章 市民自治体をめぐる論考
政策提案型市民運動のすすめ 理念編
─初出:須田春海『社会新報ブックレット 政策提案型市民運動のすすめ 理念編』(日本社会党機関誌局・1993年12月)〈国家〉問題と市民セクターの登場
──初出:「〈国家〉問題と市民セクターの登場」並河信乃編『分権社会の創造』(東洋経済新報社・1996年6月)新しい「経済」の扉を開く
──初出:「新しい「経済」の扉を開く」市民立法機構『市民セクター経済圏の形成─市民ポートフォリオとNPO活動』(日本評論社・2003年1月)自治体政治における市民参加の歴史と課題
──初出:「自治体政治における市民参加の歴史と課題」川崎健次他編著『環境マネジメントとまちづくり』(学芸出版社・2004年8月)大きすぎるのか、それとも?
──初出:「大きすぎるのか、それとも?」『都市計画』230号(都市計画学会・2001年4月)市民自治体の責任構造
──初出:『地方自治職員研修』2006年3月号(公職研)市民自治体と社会サービス―─社会化テストに関して
―─初出:『月刊自治研』2006年4月号(自治研中央推進委員会)主体としての「人間」、関係としての「資産」――市民自治体コミュニティ試論・序
──初出:『地方自治職員研修』2009年4月号(公職研)
第2章 市民運動とのかかわり
先ずは情報提供=\─相互交流のきずなに
──初出:『環境破壊』120号(公害問題研究会・1980年11月)自治体によって何ができるか
──初出:西田勝編『非核護憲都市宣言運動のすすめ』(1983年6月・オリジン出版)「政治契約」・未整理ノート
──初出:『地方自治通信』170号(1984年1月・地方自治センター)政治契約再論
──初出:『現代の理論』236号(現代の理論社・1987年4月)外国籍住民と自治体改革
──初出:岡義昭・水野精之編『外国人が公務員になったっていいじゃないかという本─在日外国人の地方公務員・教員採用マニュアル』(径書房・1989年11月)市民と政党と自治体選挙
──初出:『月刊自治研』1990年7月号(自治研中央推進委員会)市民が希望を失わない理由
──初出:『世界』1993年9月号(岩波書店)コミュニティ労働法
──初出:石毛えい子・須田春海・坪郷實編『市民が描く社会像─政策リスト37』(生活社・2008年12月)
第3章 市民立法
市民活動と市民参加
──初出:松下圭一・西尾勝・新藤宗幸編『自治体の構想1 課題』(岩波書店・2002年1月)『市民立法機構設立総会記録』巻頭言
──初出:『市民立法機構設立総会記録』(市民立法機構・1998年5月)市民立法の考え方
──初出:市民立法機構編『市民立法入門』(ぎょうせい・2001年12月)『市民立憲案2005』 序章 はじめに
─初出:市民立憲フォーラム『市民立憲2005』(生活社・2005年5月)『市民立憲案2005』 第三章 地域の自治
──初出:市民立憲フォーラム『市民立憲2005』(生活社・2005年5月)市民立法講義メモ
──早稲田大学大学院社会科学研究科「福祉社会・政策開発(自治体・NPO)」2008年度前期講義を担当した時のレジュメ・未発表
第4章 寄稿編
市民運動全国センターという「場」
――堀田 正人(リバー・クラブ)『政策提案型市民運動のすすめ 理念編』を書いてもらった頃
――福田 誠之郎(参議院議員政策秘書)文明による暴力への対抗 共同体験のその後
――河野 道夫発言・行動・提案する市民をファシリテート
――石毛 ^子(衆議院議員)市民立法機構の背景と意義
――並河 信乃(市民立法機構運営委員)市民セクター経済圏研究会のこと
――齋藤 昌二(市民立法機構運営委員)〈市民立憲フォーラム〉渾身の市民活動
――安藤 博(市民立憲フォーラム事務局長)須田さんによる日韓市民社会フォーラム
――三宅 弘(日韓市民社会フォーラム)市民政調の軌跡と須田春海さん
――坪郷 實(早稲田大学社会科学総合学術院教授)自治体議会改革フォーラムのバックボーン
――廣瀬 克哉(法政大学法学部教授)
著者
須田春海(市民運動全国センター世話人)
1942年生まれ、
都立大学中退。
東京都政調査会勤務を経て、市民運動全国センター世話人
(1980年〜現在)。
環境省・全国温暖化防止活動推進センター長、法政大学大学院客員教授、太陽光発電所ネットワーク代表などを歴任。
現在、市民立法機構共同事務局長/ 環境自治体会議事務局長/
気候ネットワーク副理事長などを兼務。
編著
- 『政策提案型市民運動のすすめ』(社会新報ブックレット)
- 『環境自治体の創造』(学陽書房)
- 『市民立法入門』(ぎょうせい)など。
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